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ユーティリティーP&IDにおける「市水」配管フロー

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ユーティリティーP&IDにおける「市水」配管フロー

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プラントエンジニアリングの基礎!ユーティリティーP&IDにおける「市水」配管フローの考え方

プラントエンジニアリングや配管設計の初心者が最初に直面する壁の一つが、「P&ID(配管計装図)」の作成ではないでしょうか。特に、プラントを稼働させるために欠かせない「ユーティリティー」の配管フローは、どのプラントでも必ず必要になる重要な設計要素です。
本記事では、ユーティリティーの中でも最も基本的な「市水(水道水)」を例に挙げ、P&IDの書き方や配管フローの考え方について、初心者にも分かりやすく解説します。

1. プラント設計で欠かせない「ユーティリティーのP&ID」とは?

ユーティリティー(水・温水・冷水・スチーム等)の役割

プラントのP&IDを描く際、製品を作り出すメインの「プロセス」部分は、企業独自のノウハウや秘密保持に関わるため、会社ごとに仕様が大きく異なります。しかし、そのプロセスを動かすために必要な「ユーティリティー」の供給フローは、どの会社のプラントでもほぼ共通の考え方で設計されています
ユーティリティーには、水、スチーム(蒸気)、エアー、温水、冷水、ブラインなど様々な種類があり、これらはプラントを安定稼働させるための「血液」のような役割を果たします

初心者が押さえておくべき「市水」の基本

ユーティリティーの中でも、どのようなプラントでもほぼ確実に必要となるのが「水」です。水にもいくつかの種類がありますが、最も一般的で基礎となるのが「市水(水道水)」です。他にも特殊な用途で使われる純水や超純水などもありますが、まずは基本となる市水の引き込みと送水フローを理解することが設計の第一歩となります

2. 市水を場内に引き込むフローの考え方

水道管から敷地内への引き込み

市水の水源は、敷地外の道路下などを通っている水道管(本管)です。そこから敷地内へと水を引き込みます 引き込みの入り口部分には、水を止めたり流したりするための「バルブ」や、使用量を計測するための「流量計」が設置されます。こうして場内に入ってきた水は、用途に応じていくつかのルートに分岐していきます

オフィスや小規模工場での直圧送水

引き込んだ市水を、水道管の圧力(直圧)をそのまま利用して各所へ送るルートもあります。水道管の水圧は、建物の高さで言うと大体2〜3階程度までならそのまま水を押し上げることができますが、4階以上になると圧力が足りず厳しくなります
そのため、工場に併設されている事務室(オフィスエリア)や、1〜2階程度の一般的な手洗い場などであれば、一般の建物と同じように水道管の直圧でそのまま送水することが可能です。小規模な工場であれば、すべて直圧で賄うケースもあります

3. プラント工場内に大量の水を送るための仕組み

一旦タンク(受水槽)に貯水する理由

オフィスや小規模施設と違い、大規模なプラント工場では非常に多くの水を消費しますし、高い場所にある設備へ水を送る必要も出てきます。水道管からの直圧だけでは、水圧も水量も全く足りません
そこでプラント設計では、引き込んだ市水を一旦大きな「タンク(受水槽)」に貯め、そこから必要な時にポンプを使って大量の水を送れるような仕組みを作ります。例えば、容量8立米タンクなどが用いられます。タンクには点検用の階段や枠を設けるのが一般的です

ボールタップを使った自動給水システム

この大きなタンク内の水が使われて減った時に、自動で水を補充する仕組みが「ボールタップ」です
ボールタップは、家庭用トイレのタンクと同じ原理で動きます。タンク内の水位が下がると、浮き球が下がって自動的に給水弁が開き、水が補充されます。逆に水位が規定の位置まで上がると自動で弁が閉じるため、水があふれる心配がありません。このようにして、常にプラントで必要な水量をタンク内に確保しておきます

4. ポンプを使った送水と安全対策(P&IDの書き方のポイント)

タンクに貯めた水をプラントの各設備へ送るためには、ポンプを使用します。実際のP&IDを描く際に重要となる、ポンプ周りの配管レイアウトと安全対策について解説します。

予備ポンプ(バイパス)の設置と交互運転

ポンプなどの機械設備は、長期間稼働していると故障するリスクがあります。そのため、メインのポンプとは別に「バイパス(予備ルート)」を設けて、予備のポンプを設置しておくことが一般的です 1台が故障してももう1台でカバーできるだけでなく、普段から2台のポンプを交互に動かすことで、機器の寿命を延ばすという運用方法をとっている工場も多くあります

振動対策(フレキ)と逆流を防ぐ(チャッキ弁)の重要性

ポンプ周りの配管設計では、以下の安全対策をP&IDに盛り込む必要があります。
  • フレキ(フレキシブルジョイント)の設置: ポンプは稼働時に大きな振動を発生させます。そのため、ポンプの入り口と出口の配管には振動を吸収するフレキを設置します
  • ドレン抜きの設置: 配管内に溜まった水を抜くためのドレンも必要です
  • チャッキ弁(逆止弁)の設置: ポンプの出口側には必ずチャッキ弁を設けます。万が一ポンプが停止した際、高い場所に送った水が重力(自重)で逆流してくると、その圧力でポンプが破損してしまう恐れがあるためです。チャッキ弁は水が一方向にしか流れないようにする役割を果たします
  • メンテナンス用バルブ: チャッキ弁は比較的壊れやすい部品です。そのため、交換などのメンテナンスが容易にできるよう、チャッキ弁の前後(特に上部)には必ずバルブを設置し、水を止められるようにしておきます

ヘッダーを用いた各設備への分配

ポンプから安全に送り出された水は、「ヘッダー」と呼ばれる分岐用の太い配管に集められ、そこから各設備へと分配されます 分配先としては、プラント工場内の各生産ラインのほか、蒸気を作るための「ボイラー」への給水ルートなどがあります。また、送水した水を元のタンクへ戻すための循環ルートを作っておくことも重要です
今回は市水を例に挙げましたが、温水装置で作った「温水」や、チラー・クーリングタワーで冷やした「冷水」を工場内に送る場合も、基本的なP&IDの書き方やフローの考え方は同じです

5. まとめ

プラントエンジニアリングにおけるユーティリティー(市水)の配管フローは、一見複雑に見えますが、目的ごとに分けて考えれば決して難しくありません。
  1. 水道管からの引き込み: 事務所や小規模用途には直圧で対応する。
  2. タンクへの貯水: プラント用に大量・高圧の水が必要な場合は、一旦タンクにボールタップで自動給水して貯める。
  3. ポンプと安全対策: 予備ポンプを設置し、振動対策(フレキ)や逆流防止(チャッキ弁)、メンテナンス用バルブを適切に配置する。
  4. 分配: ヘッダーを通じて、ボイラーや各生産設備へ水を供給する。

これらの基本構造を理解することで、初心者でもエンジニアリング会社から渡されるP&IDを深く理解することができるようになります。まずはこの「市水」の基本フローをしっかりとマスターしましょう。

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