スケールアップの課題解決

ある化学会社から、
今の工場が手狭になってきて、また生産量が今後もアップしていくので、
スケールアップを伴う工場移転の相談に、一度、乗って欲しいとのことでした。

0.5㎥の小さな釜から様々な攪拌槽がありましたが、
それを最大8㎥にスケールアップし、合計10基を据え付けたいとのこと。
そのうち、2基は、まだ使用し続けられるので、移設を行いたいとのこと。

ここで、
今回は、スケールアップですので、
もし、以前、据付工事を行った時の御見積書や、機器の金額が分かる資料があれば、
以下の通りで、だいたいの現在の機器の価格が求めることが可能ですので、
もし、据え付けた際の費用が分かっていましたら、
現在の金額にすると、いくらになるかは、概算で算出されます。
それが、スケールアップで、大きくなる場合も、求めることが出来ます。

以前2010年に、2㎥のSUSの攪拌槽を、入れられていたそうで、
その時の価格は、機器単体で、720万円だったようです。
それが、今回は、スケールアップで、8㎥の同じ材質であるSUSの攪拌槽になるので、
その機器の単体の2023年の概算費用を出して参ります。

まず、プラントコストインデックス

というグラフを元にすると、
2010年の指数が約「130」
2023年の指数が約「215」
なので、
2010年と比べると、材料価格、人件費等も含めて全て平均して、
約65%増になっていることが分かります。
ですので、
まずは、
同じ2㎥の攪拌槽を買うとしても、
2010年で、720万円
だったものが、
2023年では、
約1188万円
になることが、予測できます。
さらに、2㎥ではなく、8㎥ですので、
これは、どうスケールアップの計算をするかと申しますと、
その倍率を、「0.6」乗根するのです。
つまり、2㎥から8㎥にスケールアップということは、
4倍になっている訳ですので、
「4」の「0.6」乗根すると、約「2.3」となります。
つまり、約1188万円を2.3倍した約「2732万円」が、
2023年での8㎥の攪拌槽の金額と予測できるわけです。
このようにして、各攪拌槽、また各機器のトータル金額を求めていきます。
もちろん、2010年の時点で、購入していない機器については、
各メーカー、商社に、機器等の見積もりを取らなければいけません。
商社やメーカーに聞いて、価格を無償で出してもらえそうなところは、上記のような0.6乗根とかやらずに、今の価格を聞けばいいと思います。

さて、だいたいの機器の費用が出そろってきましたら、次は、フローシートです。


※ほんの一部のみしかもユーティリティー部分で、申し訳ないですが手描きで示しています。

また実機プラントですので、スケールアップもしますし、
フローに合わせて、機器の配置図を描いていかなければなりません。


※ほんの一部のみしかもユーティリティー部分です。

機器の概算価格は、上記で既に算出してしまっていますが、
実は、配置によって、特に、配管等で、高い場所、距離が遠い場所へ搬送するための機器は、
配管の圧力損失等によって、大きく機器の仕様が変わる場合もありますので、
要注意が必要です。

このようにして、
機器の仕様が明確になり、機器単体の金額の合計が出てきます。
詳細の仕様、特にどこまで自動化するのか、防爆かどうかによって大きく変わりますが、
だいたい機器費の合計の4~6倍くらいが、そのプラント全体の費用となることが多いようです。
(ただし、土木・建築の費用は含みません。)
自動化が多かったり、エリアが広かったり、またがる階数が多かったり、防爆だと、機器費合計の7倍以上することもあります。
ただし、金額の高い計器類がありますと、それも含めて算出した方がより正確な費用が出てきますので、
その場合は、次のP&IDが出てからになります。

今回の場合は、
自動化もあり、計器も相当数ありますので、
P&IDで、詳細を明確にして、見積もり金額を算出していきました。

ご発注後は、製作に入って参ります。
この時に、どうしても、正式なご発注時期がもう少し遅くなる場合は、
納期が掛かる機器のみを先に単体でご発注いただくケースもございます。
このように、ケイ・エイチ工業では、その都度、納期が迫られている機器や計器を先に順番で、対応して参ります。

また、
新しい建屋に攪拌槽等を据付する場合、
建屋の屋根を設置する前に据付した方が、据付費用が安くなる場合があり、
そのような時は、建屋建築側と協力し合い、
屋根を張る前に、攪拌槽を据付する場合もあります。
今回は、まさにその事例でした。

続けて、
建屋の工事をやっている中でも、建屋の外部の工事は可能ですので、
まずは、建屋の外部の設備工事から入ります。
外部に設置する機器の据付。

それから、配管工事。

建屋の完成検査が終わりましたら、
建屋内の設備工事に入ります。

そして、電気工事、保温・保冷工事

計装工事

試運転

と続きます。

実液を入れての試運転が始まります。

計量等もチェックして、試運転が完了となります。

新設の設備が本格的に稼働できることが明確になると、
次は、移設工事です。
元々稼働していた工場から、設備を移設します。

このようなスケールアップの課題解決事例はたくさんありますが、秘密保持契約の関係上、ご紹介できるのは、
この案件でありました、化学プラントのスケールアップのみとなります。
他にも、研究開発段階からテストプラントへのスケールアップ、テストプラントから実機プラントもしくはへのスケールアップ、パイロットプラントへのスケールアップ等々の実績がございます。

スケールアップで、お困りの方は、ぜひ一度、ご相談ください。

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